グルーヴは都市にある。

音楽には、風景があると思います。この音楽を聴けばあのシーンが蘇る。あの音楽を聴けばあの人のことを思い出す。そのような音楽が独自に持ったstoryを綴っています。是非、掲載曲を聴きながら私の"story"を読んで頂きたいです。その音楽から見えた風景を貴方と共有したいと思っています。

【DJレポ】8月17日 新宿三丁目 SOUL BAR BOXにて

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8月17日

ゴールデンウィーク終盤、新宿三丁目にありますSOUL BAR BOXにてDJをしてきました。

 

こちらのBOXでマスターをされている青木さんは、通常営業のときお酒を作りながらDJをされている。

 

片手間でやっているように見えるDJも選曲が秀逸で極上のMellow Musicをかけてくれる。

 

カップルで来ているお客さんも多く、その時の雰囲気に合わせてムーディーな空間を作る音楽を選び抜いているのだろう。

 

広々としたウッドカウンターと正面に並ぶウイスキーボトルとレコード、サイドには木製の大きなスピーカー

 

そんな SOUL BAR BOXで毎月第3土曜の夜に行われているレコードオンリーイベント"Mellow Beats"に今回、出演させて頂いた。

 

各々のDJが今イチ推しのMellowなレコードを持ち寄って夜な夜な回すこのイベントでは、流れる甘い音のせいかいつもよりお酒が進んでしまいます。

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私、最近個人的にDJとして極めたいと思っているジャンルがディスコとシティーポップの融合です。

 

元々シティーポップのルーツはディスコだったりファンクなので曲自体の音使いは結構似た者同士。

 

例えば有名なシティーポップアーティスト 角松敏生

 

彼の最高傑作とも言われるAfter 5 crash

 

あくまで私の憶測ではありますが、こちらHigh Fashionの"Feelin'Lucky Lately"をサンプリングしているのではと思っています。

一度聴き比べて見て下さい。

 

だいぶ意識してるのではないでしょうか。

 

けれど、シティーポップには日本人特有のメロディーが必ずあります。

たぶんこれはDNA的なものなのでしょうか。

 

どれだけ洋楽を意識しても、所々に邦楽のニュアンスが入ってしまう。けれどそれは邦楽独自の素晴らしさがあるわけでも御座います。

 

だから僕はそんなディスコの良さと邦楽の良さが詰まった80年代シティーポップが大好物なんです。

 

そして本家のディスコと日本のシティーポップを巧く操れるDJ技術を極めたいってわけです。

 

その第1回目の挑戦として選曲をしました。

 

SET LIST

#パソコン音楽クラブ - BEYOND

#角松敏生 - Lucky Lady Feel So Good

#chnge - MIRACLE

#tuxedo - SPECIAL

#tonycook - what's on your mind

saturday love - alexander o'neal & cherelle

#harrietbrown

#daftpunk - digital love

#omegatrive - Eastern Railroad

#杏里 - BRING ME TO THE DANCE NIGHT

#大橋純子 - シンプルラブ

#sosband - WEEKEND GIRL

フィリスハイマン - First Time Together

杏里 - I CAN'T EVER CHANGE YOUR LOVE FOR ME

 

最後のフィリスハイマン からの杏里の繋ぎがお気に入りですのでちょっと掲載させて下さい笑

 

スライドして頂ければ動画閲覧できるかと思います。

 

 
 
 
 
 
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新宿三丁目 #boxbar にてDJをしてきました。 今回は夏をテーマに選曲しました。 SET LIST #パソコン音楽クラブ - BEYOND #角松敏生 - Lucky Lady Feel So Good #chnge - MIRACLE #tuxedo - SPECIAL #tonycook - what's on your mind saturday love - alexander o'neal & cherelle #harrietbrown #daftpunk - digital love #omegatrive - Eastern Railroad #杏里 - BRING ME TO THE DANCE NIGHT #大橋純子 - シンプルラブ #sosband - WEEKEND GIRL フィリスハイマン - First Time Together 杏里 - I CAN'T EVER CHANGE YOUR LOVE FOR ME #dj #music #夏 ※動画が比率おかしかったので再投稿しました。笑

wfrさん(@k_wfr_t)がシェアした投稿 -

 

そして!

今週、8/31も新宿にてDJがありますので第2回目の挑戦をしてきます。

 

 

 

【風景聴きレビュー】杏里 "Last Summer Wisper"

※下記の"story "は掲載曲を聴いて想像したものです。音から見える風景や物語を文にしています。是非、音楽を聴きながら読んで頂けると幸いです。

 

 

夏の歌姫 杏里

彼女の音楽には、夏と海がある。

爽やかなサウンドとどこまでも伸びていくような透き通った声

 

この季節になると聴きたくなるアーティストだ。

 

でもなぜ杏里=夏という方程式があるのか。

 

それは杏里の持っているセンスや歌声も大いに影響しているが、プロデューサーの力も大きい。

最も密接に携わってきたプロデューサーは和AORの職人 角松敏生

 

彼の風景を作り出す作曲は秀逸で、見事に杏里=夏のイメージを作り出したと考える。


その中でも、「夏の夜」を絶妙に表現しているこの曲は角松調のイントロがたまらなく気持ち良い。

 

まるで熱帯夜の帰り道、ステップを踏みながらあの人の元へ向かう貴方が見えます。

 

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"story"

 

汗ばんだ肌、白いワンピース、赤い傘と麦わら帽子

お似合いの君は街灯に照らされる。

 


雨の音でステップを刻んで、貴方の元へ

見上げたら雲の狭間から今宵の月が見え始めた。

 


湿っぽい梅雨の終わりを告げるように美しい曲線を描いたそれは輝く。

いつも頭の何処かに貴方がいて、待ち遠しいあの笑顔を想像する。

だからこんな何気ない梅雨明けの瞬間も共有したいと思う。

きっと貴方は話すだろう。

 


「水たまりに反射した雨上がりの街が好きなんだ。」

 


私はそんな斜に構えた言葉に笑って、横顔を見つめる。

 


ふと遠くを見つめるような目に、寂しさを覚えた。

私は願っていた。

 


その先に、これからの未来があるんだって。

私は願っていた。

 


ずっと隣にいれるんだって。

 

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あれからどれくらい経ったんだろう。

私は、またこの曲を聴いている。

 


いつも頭の何処かにいた彼は今も変わらない。

けれどあの夏の帰り道に踏んだステップは忘れた。

 


俯いて歩くその先に当然貴方はいなくて

もう上手くステップも踏めない。

 


悲しくなって見上げた夜空からは雨が降る。

目の前の雨雲にきっと三日月が隠れているはずだと信じてみるけれど

降りしきる雨足から今夜は明けそうにない。

 


なんでだろう。

 


傘をさしているはずなのに、足元に雨粒が落ちる。

夏の黄昏に似た恋は、徐々に消える光の様に

午後からの授業をサボって【下北沢】のゲームセンターで聴きたいSMOKE MUSIC 4選

"story"

通学路にある下北沢エムエムランドって

お気に入りのゲームセンターは、冷房で20度の冷たい空気と

煙草の煙が混ざっていて心地いい。

あちらこちらから鳴るゲーム機の音が交差して耳に刺さる。

イヤホンを装着しても、その音を完全には遮断できなくて

お気に入りのプレイリスト「下北沢エムエムランド」から選曲する。

 

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さて今回は、

『午後からの授業をサボって【下北沢】のゲームセンターで聴きたいSMOKE MUSIC 4選』

というテーマで気だるい気分とゲームセンターのコスミックな風景をイメージして選曲しました。

ぜひ、4曲とも聞いていただければと思います。

 

  • Tuxedo - Extra Texture feat. DâM-FunK

※右上のSpotifyマークを押せばSpotifyが開けます。

 

我らが大好きTuxedoからニューアルバムがリリースされた。


流行りの四つ打ちやダンスミュージックなんて全然知らなくて下北沢からディグってきたレコードからの音楽が大好きってブギーボーイも2015年デビューの彼らは無視できない存在だろう。

 

メイヤー・ホーソーン、ジェイク・ワンからなる二人組。

2人共無類のディスコミュージック好きだってのが音づかいからわかる。

 

また今回のアルバムは、コラボ曲多数収録となっておりそのメンツも超キマってる。

MF DOOMベニー・シングスetc

 

その中でも今回、個人的に最もアガッたのがDam Funkとのコラボ。

 

レーベルStones Throw繋がりでいつか一緒にやるだろうとは思っていたけれど、その曲の完成度があまりにも素晴らしかった。

 

Tuxedoのブギー感とDamの気だるいサウンドが絶妙にマッチしてる。

 

特にメイヤーホーソーンの1st verseは聞き応えあり。

Dam Funkサウンドにはこの声が一番合うのかも。

 

※右上のSpotifyマークを押せばSpotifyが開けます。


ついこの間、発表したアルバム「IGOR」は自身初となる全米チャート首位を獲得した。

 

その中でも、山下達郎の"Fragile"をサンプリングした「GONE,GONE / THANK YOU」は日本国内のヒップホップシーンでも話題となった。


彼はラッパーでありながら、スケーターとしても有名だ。

 

そしてスケボーとヒップホップは密接で、同じ感性を持つ仲間もまたその界隈で繋がる。

 

その象徴が、The internet.Earl Sweatshirt.Frank Oceanなどが所属しているTylerリーダーのODDFUTUREだ。

 

ODDFUTURE出身のアーティストは、そのセンスと奇抜さを作品へ表現しマルチに評価されている。


そんな繋がりをLAで築いてきたTylerは、まさに今の若年層ストリートシーンを熟知しているわけでありその空気感にあったトラックを作り出せるのだ。


ときに激しくベースを唸らせるときもあれば、70年代のSOULを想起させるようなグルーヴを作り出しチルさせることもある。

 

まさに今のストリートシーンなのだ。

 

今回のBoredomは、そんな中でもセンスと気だるさを上手く組み合わせたチルミュージックだ。

 

  • Knxwledge - Relapse feat. Traffic

※右上のSpotifyマークを押せばSpotifyが開けます。

 

Stones  ThrowからのヘビービートメイカーKnxwledge

 

ソウルミュージックを基本にサンプリングし、分厚いベースとドラムで作り出すビートは独特のグルーヴがある。


活動拠点をカリフォルニアとし、温暖な気候の地域だから生まれる風景を音楽から感じれるはずだ。

 

ラッパーTrafficとフューチャリングした今回の楽曲もまたKnxwledgeならではの音作りとなっていて、重低音ゴリゴリだけれどどこかカリフォルニアを感じる仕上がりとなっている。

 

サンプリング元I Start You Up,You Turn Me OnLeVertとも聴き比べて欲しい。


イントロを丸々抜き取っているが、そこにKnxwledgeの重いドラムとベースを導入しヒップホップを演出する。


あとは、このアーティストのこの曲をサンプリングするKnxwledgeのセンスはやはり秀逸である。

 

  • King Geedorah - Next Levels Feat. Lil'Sci, ID 4 Winds & Stahhr

※右上のSpotifyマークを押せばSpotifyが開けます。


MF DOOM(以下MDと略)の別名プロジェクト King Geedorah


MDは、荒々しいビート作りでありながら絶妙な後ろノリグルーヴを生み出すことが特徴的であるビートメイカーだ。


またKing Geedorahという名前を自らに付けることからもわかる通り、日本の特撮やアメコミをルーツとしている彼はそこからよくサンプリングしている。


Next Levelsはジャジーなサックスから始まり、シブいピアノフレーズに乗せる荒削りなMDのドラムがリズムを刻む。


MDのどの曲にも言えるがお世辞にも上手いっ!とは言えない音作りやMPC使いは、ピカソのそれと似ているのかもしれない。


聞けば聞くほどにその音の虜になっていだろう。

 

『風景聴きレビュー』AmPm "This Mess" 【新宿南口】から甲州街道を下ってく始まりの朝

 ※ 下記の"story "は掲載曲を聴いて想像したものです。音から見える風景や物語を文にしています。是非、音楽を聴きながら読んで頂けると幸いです。

 

 今回、ご紹介したい曲がこちら。

 

 AmPm(アムパム)

エーエム・ピーエム 某昔のコンビニではありません笑

 

彼ら日本人アーティストなのですがご存じでしたか?

国内ではそれほど知名度は無いものの海外では超人気ストリーミングアーティストなのです。

なぜストリーミングアーティストと表現したかというと、ストリーミングミュージックアプリSpotifyで大ブレイクを果たしたからです。

というのも彼らは顔を晒していません。

 

いつも狐の覆面を被っており、いわゆるダフトパンク、マンウィズ系の類ですね。

 

私個人的に、覆面を被って売れているアーティストは総じて音楽の質が良いという持論が御座います。

MF DOOM、DAFTPUNKなどなど。。。

 

そして彼らの無機質で洗練されたフレーズは一級品です。

ストリーミングアプリから売れる理由も理解できます。

また、どのジャケットもおしゃれなデザインで視聴者の記憶に残らせる戦略なのかと考えます。

 

デビューシングル『Best Part of Us』がリリースされてから4カ月という期間でSpotifyでの総再生回数が530万回再生

 

無名から一気にスターになった彼ら。

そのきっかけがSpotifyという点から現代のミュージックシーンは多様化が進んでいると考えます。

特にSpotifyはプレイリストが充実しており、シーンに合わせたプレイリストがたくさんありその中に無名アーティストが紛れ込んでいることも珍しくありません。

 

Spotify出身アーティストは今後、要チェックかと。

 

そんな彼らの音楽を聴くと冬の朝が見えてきます。

 

だけどいつもとは違う。

 

忘れることができないあの人との記憶を消すことができない出勤前の新宿駅で。。。

 

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  • story

 

朝霧がかかった都庁をバックに、甲州街道を下っていく人々

冷気が頰をかすめ、すこし寂しさを覚える。

 


忘れたって自らに思わせたつもりだったけれど、朝は冷酷だ。

 


変に冴えた五感が、貴方を作り上げる。

 


単に冷えた鉄は、都会を作り上げる。

 


違いは単純に、触れれるか触れれないかの事実で

胸の痛みは、物質的に締め付けられてる様に感じる。

 


アスファルトを叩く靴

踏み出すたびに擦れるコート

唯一の温かみを残したポケット

 

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白い吐息は空中を浮遊しては消える。

 


粒子が最後の一粒にまでなって

透明になったとき世界は有限なんだって感じる。

 


貴方が注ぐことのできる愛の量から私が溢れてしまったことも有限。

 


溢れた液は、空間を移動して私の瞳から溢れる。

 


たくさんの透明なそれは、吐息の様には消えない。

 


まるで有限の世界から逸脱したように流れ続ける。

 

『風景聴きレビュー』ADOY "Wonder" 韓国産citypopを【代々木上原駅】小田急線乗り継ぎのホームで

 

※下記の"story "は掲載曲を聴いて想像したものです。音から見える風景や物語を文にしています。是非、音楽を聴きながら読んで頂けると幸いです。

 

 


今回、紹介したいアーティストは

2017年デビューの韓国インディーシーンで人気急上昇中の4人組バンド ADOY

 

バンド名はメンバーの飼ってるネコYODAの名前を後ろから呼んでADOYとつけたそう。

 

ジャケットは日本のアニメを意識したアートワークですね。

 

曲調は日本のcity pop にも近く聞きやすいかと思います。


そんな彼らの音楽は、ゆるく繊細なグルーヴがたまりません。

 

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"story"

 

疲れたとき

 

「はぁ、あの上司うぜーー!」

 

「一人でこんな仕事量こなせるわけねーだろ!」

 

とかイライラして帰路についてるとき。

 

プレイリストからふと彼らの音楽が流れれば、

 

何か全てを忘れてただその音楽の世界へ浮遊してしまいそうな。。。

 

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あの日、恋い焦がれた学生の頃の風景が。

 

自転車飛ばして、河川敷の秘密基地に向かった記憶を。

 

呼び起こしてくれるような。

 

悲しくて儚い

 

けど気付かないうちにそばに幸せがあるんだって、気づかせてくれる。

 

今は、高層ビルに囲まれたオフィスからの風景。

 

いつも通りの帰り道。

 

千代田線から小田急線への乗り継ぎ待ち。

 

急かされる毎日。

 

社会の歯車の一部に感じるかもしれない。

 

けど見上げてみれば、駅舎の隙間から夜空が見える。

 

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霞んだ星の光は遥か遠くで輝く。

 

ちっぽけな君は何者にでもなれる。

 

この線路には果てがあるけれど

 

君の見ている夜空に果ては無いのだから。

『風景聴きレビュー』WILYWNKA(変態紳士クラブ) "See You Later" 東京で【御堂筋線】始発待ちの朝方を思い返す。

※ 下記の"story "は掲載曲を聴いて想像したものです。音から見える風景や物語を文にしています。是非、音楽を聴きながら読んで頂けると幸いです。

 

今回、ご紹介したい曲がこちら。

 

 

WILYWNKA - See You Later (feat. 変態紳士クラブ)


TAKA名義で『高校生RAP選手権』に出場し、大きく注目され、以降はMC名を変えて精力的に活動を展開してきたWILYWNKA


関西を拠点に、レゲエDJで着実に地盤を作るVIGORMAN


沖縄の唾奇、「韻シスト」のMC BASIにも楽曲を提供するメロウプロデューサー GeG


この3人で構成された変態紳士クラブからWILYWNKAソロ作として公開された楽曲
あくまでメインはwilywnkaというスタンスのようだ。

 

着目していただきたいのはMVですね。

 

大阪 東京 の2都市を舞台に展開されるこの演出は、上京している若者にはグッときます。

 

故郷の思い出が蘇るような。。。

 

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  • story

 

秋季の瀬戸際でも、熱気と蒸気で満ちていたこの空間。

 

しばらく経てば少し冷たさを覚えたから、
今夜のピークは過ぎ去ったみたいだ。

 

0時のミュージックとは変わって、BPM85くらいのビートが背中を押す。

 

「出る?そろそろ。」

 

無愛想なエントランスは、手招きだけでエレベーターへ。

 

 

肌寒くなってきた午前4時

 

ゴミ袋で塞がれた歩道 

 

御堂筋を少し避けた雑居ビルの階段で

 

malboro片手に、始発を待つ。

 

向かいのファミリーマートから出てくる奴らは、肩を組んで宗右衛門町の方へ歩いてく。

 

一方の俺達は、ぐちぐちと言い訳を交わしながら今夜のことを悔やむ。

 

いつものことさ。

でも心地が良かった。

 

ただその瞬間だけを見ていた。

 

目の前のものだけを信じていた。

 

それを愛して、悔しくもなった。

 

「餓鬼だったね。」

 

心の中で呟けば、許せてしまう。

 

きっと若さってそんなもんさ。

 

もし昔に戻れたらなんてありきたりな問いかけ。

 

そんなこと出来ないんだからさ。

 

あの頃の記憶も今の自分の一つだから。

 

見渡せば、いつでもそばにいる。

 

距離は離れてたって、藍色の思い出で俺達は繋がってる。

 

また時期がくれば、あの頃みたいに濃いめの酒でその夜を忘れるのさ。


 

 

『風景聴きレビュー』Mac Ayres "Waiting" 【歌舞伎町】の深海で人魚は溺れる。

※下記の"story "は掲載曲を聴いて想像したものです。音から見える風景や物語を文にしています。是非、音楽を聴きながら読んで頂けると幸いです。

 

 

当初、Tom Mishが自分の中で全盛期だったときSpotify のシャッフルで流れたMac Ayres

 

Tomとはまた違ったブルーなグルーヴ

 

 スローなビートに底から押し寄せてくるようなベース

 

 セクシーでありながらどこか暗さも感じる。

 

 そんな印象だった。

 


今回ご紹介したいのがこちらの楽曲。

 

彼は、ニューヨーク出身の21歳

 

ジャンルはR&Bということ。

ソウルの要素もどっぷりと入っている。

 

尊敬しているアーティストとしてスティーヴィーワンダーを挙げているところから、音楽の本質はしっかりと抑えてそうだ。

 

Mac Ayresのサウンドは、ACIDJAZZ.OLD SCHOOL HIPHOP.BLUESあたりがルーツだろう。

 

特にギターのフレーズは、BLUESの要素があって流行りだけでなく古き良き音もしっかりと捉えているように感じる。

 

彼の音楽は、世間では爽やかだという意見が多いが私はそう感じない。

どちらかといえば、ブラックで少し憂鬱さを感じる。

 

私はそんなところに魅了された。

 

気持ちが落ちてるときにこそ、彼の歌声は心に突き刺さる。

 

そう、君が夜の街を彷徨っているとき。

 

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"story"

 

ネオンの海に溺れてる。

 

深い深海は、不快なニュートンが空間を支配している。

 

けれど電光掲示板と行き交う車のフロントライトが照らしてくれるから暗さは感じない。

 

BMWが目の前を横切る。

 

泡を立てながら進んでいく。

 

そばには光る熱帯魚が寄り添って群れを作る。

 

心の底で何故かひどく孤独を感じていた違和感は、一寸先の闇を隠す絢爛な光景だった。

 

テクスチャーだけが存在を主張して、心はどこにも見当たらない。

 

目の前で切り替わる赤から青。

 

同時に進み出す目の前の車は水で満たされ、ハンドルとアクセルと運転手の充血した目だけが動き始める。

 

全てがスローモーションのように見えて、どこか生き急いでいるテクスチャー。

 

唯一の自分を置き去りにして、うねりを作る。

 

湾曲した七色の光。

 

その先でゴジラが泡を吐く。

 

このままどこまでも沈んで行きたい。

 

この夜に甘えた私は、水流に乗って美しい珊瑚礁にたどり着く。

 

珊瑚が欲望の果てに枯れてしまっても、また流れに任せれば他の珊瑚礁へ辿り着く。

 

けれど、息が苦しくて這い上がり水面から顔を出したとき外の世界で誰が私に手を差し伸べてくれるだろう。

 
長らく触れていなかった愛の温度はどれくらい温かいんだろう。

 
裏切られることのない誰かとの絆はどれくらい美しいんだろう。

 

未だ見たことのないあの丘からの絶景に何を感じるだろう。

 

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