グルーヴは都市にある。

音楽には、風景があると思います。この音楽を聴けばあのシーンが蘇る。あの音楽を聴けばあの人のことを思い出す。そのような音楽が独自に持ったstoryを綴っています。是非、掲載曲を聴きながら私の"story"を読んで頂きたいです。その音楽から見えた風景を貴方と共有したいと思っています。

松下誠のグルーヴは36年後の今も色褪せぬ前衛的ミュージックとして存在する。

f:id:waffre:20190908214059j:image1982年発表された松下誠の1st アルバム


伝説の最終回で終わりを迎えた"笑っていいとも!"が始まった年。


日本人がバブルに向けて街を駆け抜けている頃、都内のスタジオでは鋭いカッティングと見事にグルーヴするドラムキックとベースが鳴っていた。

 

とても80年初頭とは思えない音のアプローチ。

 

2019年現在のオリコンチャートに入ってくる楽曲の全てより前衛的だ。

 

音楽好きの界隈では、CITYPOPの再ブームがやってきいるし昭和ミュージックは地上波でも特集されやすいから平成生まれでも知っている曲はたくさんあるだろう。

 

けれど彼程の音の時代的劣化を感じないアーティストは…たぶん佐藤博の"Awakening"ぐらいだろうか。

 

是非とも地上波で特集されるミーハーな音楽だけではなく、あの時代のスタジオミュージシャンが追求した音の風景を感じてほしい。

 


この曲は松下誠の左右に振ったカッティングも堪らないが、特にベースとドラムの交じり合いを意識して聞いてほしい。


殆どのベース音とドラムのキックが重なっていてそれがとてつもないグルーヴを生んでいる。


"俺のカッティングよりドラムとベースを聴いてくれ!"と言わんばかりにこのアルバム全体を通してキックの音をセンターのかなり前に出し、ベースもゴリゴリに聞かせてくれる。


さて、こんな構成のMIXをするアーティストの中でも特に最近話題のギタリストがTom misch。

 

イギリス出身の彼が出したGeographyは音楽シーンに新たな一手を打った。


最近の音楽雑誌なんかでも取り上げられまくっていて話題沸騰中だが、そんな彼の素晴らしい楽曲の中でもDisco yesが松下誠の音楽の構成と非常に似ている。

 


どうだろう。

 

なにかテイストが似ている様に感じないだろうか。

 

左右に振られたカッティングとメリハリのあるドラム、それから絶妙にうねるベースライン。


さて、2018年に大ヒットしたTom mishの音楽と1982年に発表された松下誠のthis is all i have for youには36年の差がある。

 

つまり、この2つの音楽の間に36年もの時間が存在するのだ。

 

この事実をとても信じれない。

 

それだけに前衛的な音楽があの当時、日本にはあったのだ。