MAXの "Acid Dreams"と共に「Acid」の音を夢見る。
1992年生まれの俳優兼ミュージシャンのMAX
ソウルフルな歌声と流行をしっかりと捉えた音楽センスから今後、目をつけておきたい若手シンガーだ。
ニューヨーク出身の彼は、ミュージシャン/俳優/ダンサー/モデルという経歴を持ち非常にマルチな人物。
俳優業としての活躍では16歳の頃にミュージカル「13」でアリアナ・グランデと共演していたり、「ラブ&マーシー」というブライアン・ウィルソンの自伝映画にも出演している。
またイタリアのハイブランドとして名高いdolce&gabbanaのモデルも務めた経歴を持つ。
そのような仕事と並行して、音楽活動を続けていた彼はYouTubeに投稿したカバー曲の動画がきっかけとなり脚光を浴びることとなる。
そんな彼が今年の7月に発表した新曲「Acid Dreams」が余りにもかっこよかったので紹介したい。
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『Acid』という言葉は音楽の世界で頻繁に出てくるワードだ。
incognito.the brand new heaviesを筆頭に1990年代ブームとなったAcidJazz。
その後、リーダーJason Kayのカリスマ性と逸脱した音楽性から爆発的人気を誇ったJamiroquaiはAcidJazzというジャンルの多様性を証明した。
最近では、chance the rapperが2013年に発表したアルバム『Acid Rap』が記憶に新しい。
そんな上記に関連した音楽と今回のMAX"Acid Dreams"はどこか似た雰囲気を感じる。
まるでMAXがAcidな音楽を聴きながら見る夢のようだ。
イントロはthe brand new heaviesの12インチレコードに入っているextended mixのような音使いで始まる。
MAXの甘い歌声とメロディーラインはJamiroquaiを想起する。
2番に入って両耳で鳴り始めるトランペットはincognitoのそれだ。
そしてAcidな夢の終わりが近づいた頃、chance the rapperの「アッ!?」って声からラップが流れてほしい。
そんな妄想をしながら音楽を聞いてみる。
すると、ただその曲の枠だけで聴くより何倍も楽しいはず。
例え英語がわからなくたってこういう音楽の聴き方もある。
音楽は決してその曲のみの枠では収まらないと思っているから自分勝手な解釈で無限大にできるのだ。
ある曲を聴きながら頭の中で、風景を想像すればいい。
ある曲を聴きながら頭の中で、好きなアーティストとコラボさせてもいい。
ある曲を聴きながら頭の中で、君がステージ上で歌っていると勘違いしてもいい。
なぜなら、その世界では自由なのだから。
そのためには、沢山の音楽を知っている必要がある。
私もまだ世界の1%の音楽も知れていない。
けれどまだ知れていない99%の音楽があるわけで、その1つ1つに風景がある。
さて、そろそろAcidな夢から醒めて違う風景を見に行こう。