『風景聴きレビュー』HONNE "Woman" 井の頭線渋谷行き急行に揺られ車窓に映る自分を見つめる。
※下記の"story "は掲載曲を聴いて想像したものです。音から見える風景や物語を文にしています。是非、音楽を聴きながら読んで頂けると幸いです。
プロデューサー James
ボーカル Andy
2人からなるロンドン出身のエレクトロデュオ
HONNEという名前は日本語の「本音」から取られているということです。
さて、彼らの音楽ですが非常にシネマティックな一面を感じます。
歌詞の意味が分からずとも音だけで感情的になってしまうような曲が多いです。
一度、Billboard liveに彼らのライブを見に行ったことがあるのですが全体を通して素晴らしく1人ウイスキー片手に音に酔った記憶が御座います。
その中でも今回、紹介させて頂く"Woman"でのパフォーマンスがとても素敵でした。
まずAndyが「今夜のお客さんにカップルや夫婦で来ている方々はいますか?」と質問します。
そして手を挙げた人達に立ってもらって、「肩を組みながら聞いてください。」とお願いするのです。
HONNEの生演奏のビートに合わせて肩を揺らす2人っきりの時間は何物にも変えがたい体験だったと思います。
その一方、僕は1人お酒片手にその光景を見ていました。笑
さて、今回はそんな曲"Woman"を取り上げました。
とても彼ららしい曲調ですね。
初っ端のイントロのコーラスなんかもHONNEらしいですね。
愛する人との夜へ向かうような。
恋の始まりを音楽に感じます。
”story"
井の頭線渋谷行き急行に揺られ車窓に映る自分を見つめる。
先週買ったライトブルーのデニムは少しサイズが大きかったから、白Tを入れ込んで誤魔化した。
吉祥寺の美容院で少し切り過ぎた髪もグリースで抑えた。
いつまで続くだろう。
なんてことは、あんまり考えないようにしてる。
出会ったあの時、触れ合うほどの人混みの中で視線が合った時、瞬間的に逸らした。
ミラーボールの反射とは関係なく君は輝いて見えた。
汗をかいたグラスに目をやると、水滴がフロアに落ちる。
衝動的に夜の街を踊った私達は、音楽が止まって初めて時刻を知る。
それから時間を重ね知っていくけれど、君はまだ虚像のままで。
今日は確か3度目。
終点は後3駅先。
いつになれば君の皮を剥がせるんだろう。
細いこの腕では、力不足かもしれない。
こんな中途半端な気持ちじゃ1mmさえ中身も見えないんだろう。
でも崩したくないから
何気なく過ごすあの時間を消したくないから
お互いの天秤が均等になる愛の重さを間違えないで支え合う。
きっとこれが心地いいんだ。
本当の気持ちを今日も隠してセンター街へ向かう。
不思議と心が踊ってる。
今夜は何が待ってるんだろう。
いつも通りの夜は、また一段と美しく輝く。